売り手市場の状況に対応していくには
売り手市場の状況に対応していくには
もはや、時給と条件のみで、採用ができる時代ではなくなりつつあります。
募集企業の多くが、条件面での緩和を進めており、2交代制で勤務できる方しか受け入れないといった企業は、今後も採用活動においては、苦戦を強いられると思います。
特に若年層の動向は、大きく変化し、若者の仕事に対する価値観も大きく変わってきました。新卒採用にも大きな影響が出ており、1名の採用単価が200万円を超えている企業も多く見られます。
単に 「立地」「給与」「条件」 が良くても簡単に採用はできない時代となりました。
これからの採用において、重要になってくるキーワードは 「従業員満足度」「新しい働き方」「会社の魅力」といった部分が、採用の決め手になってくると予測できます。
付加価値なくしての採用は非常に困難な時代に突入しています。
「従業員満足度」
仕事を通して、「楽しい」 「やりがい」 「得られるもの」 を提供
「新しい働き方」
マイペースに働ける 「労働環境」 を整備
「会社の魅力」
「従業員を大切にする会社」 「クリーンな職場環境」 「他社にはない何か」
このような、内面的な部分に対して 「入社動機」 「離職率低下」 となる施策が求められます。
また、「フリーター」 「学生」 「主婦」 など、ターゲット層ごとに、感じる魅力は異なるため、それぞれに合わせた付加価値を考える必要があります。
「募集時給」 「採用条件」 には限界がありますが、これらの要素は付加価値次第で、ある程度はクリアできる問題と考えられます。
退職に伴う補充採用はいつから?
退職に伴う補充採用はいつから?
退職者が出れば、代わりを補充するための採用が必要になります。
いつ求人を出すか?ということは非常に重要で、遅くなればなるほど、採用も遅れます。
必要な時期になる直前に求人を出しても、採用できるまでには、平均1ヶ月程度の時間を要します。
あまり早く採用すると人件費がかさんでしまうという声をよく耳にしますが、必要な時期に採用が間に合わず、結果的に求人費用の方がかさんでしまうことも多く、募集開始時期は早すぎても遅すぎても良いことはありません。
募集開始時期は、募集するターゲット層によって変わりますが、今回はフリーターを採用したい場合の有効な開始時期について紹介したいと思います。
まず認識が必要なことが、フリーターの多くは在籍中に次の転職先を探す傾向が強く、転職するにしても現在勤務中の会社には少なくとも1ヶ月前に退職告知をする必要があるため、募集が出たからと言ってすぐに転職することは一般的には無理です。
例えば、4月1日から勤務できるフリーターを採用したい企業が、3月1日に求人募集を開始した場合に採用できる範囲は、現在無職で求職中のフリーターに制限されるということです。
上記の場合、無職のフリーターという狭い範囲が採用ターゲットになってしまうため、必然的に選べるほどの応募数は上がらず、下手すれば4月1日から勤務できるフリーターを採用できない可能性も上がります。
よって、推奨とされる開始時期は必要な日の2ヶ月前となります。
求人各社が8週間の掲載プランを販売している理由は、そもそも安全に採用するには2ヶ月かかるということです。
2ヶ月前に掲載を開始することで、転職希望のフリーターに時間的猶予を与えることができるため、1ヶ月前から募集する場合よりも、採用が円滑に進む可能性が上がります。
考えるべきは、転職希望者の都合に配慮が必要だということで、企業の必要時期と求職者の転職可能時期に、ミスマッチがないように掲載開始日を考える必要があります。
応募が急に減った時に考えられること
応募が急に減った時に考えられること
つい最近まで求人募集を出せば、ある程度の応募がコンスタントに上がっていたにも関わらず、急に応募が上がらなくなった事例を多く目にします。
この状況になった時に、判断を誤れば、あっというまに人材不足に陥ります。
今回は、急に応募が減った際に考えられるケースについて紹介したいと思います。
① 求職者の動きが停滞しているとき
年間で見た場合、応募が上がりやすい時期と上がりにくい時期があります。
近年のデータからは、あらかじめ上がらない時期を事前に特定することが困難になっていますが、それでも過去データから、一般的に応募が減るのはどんな時なのか?というのは明白で、それは天候が悪化した場合です。例えば、雨が続いたり、台風などの災害が起きた時です。このケースで一時的に応募が下がった場合だと、天候が回復した後に応募数は上がりますので、さほど気にすることではありません。
② 周辺企業の募集に変化があったとき
今回の記事で最も重要になるのが、急に応募が上がらなくなった際に、周辺企業の募集内容が大きく変化している場合です。例えば、周辺の時給相場が上がった(最低賃金の改訂タイミングに起こりやすい)場合、シフト条件を緩和する企業が増えた場合、周辺企業が求人費用を増やしたために自社求人が下の方の掲載になった場合、周辺企業が給与以外の特典や福利厚生に力を入れた場合、周辺企業の求人数が増えた場合、他にも多数考えられますが、多くの場合、他に魅力のある仕事が増えたことで、他社に応募が流れてしまったと考えられます。
急に応募が減った場合、上記のようなことが考えられますが、慎重に原因をつきとめる必要があります。何の根拠もなく、求人媒体がよくないと判断して、他の求人媒体に切り替えがちな企業が多く見られますが、多くの場合は解決しません。根本の原因に有効な策かどうか?ということが重要になります。
過去の記事でも紹介しましたが、求人結果を分析する際には、まずはアクセス数の推移を見ることです。
アクセス数が悪ければ、求人のキャッチや掲載プランを上位に変えれば、ほとんどの場合でアクセス数が増加します。また、アクセス数が多いのに応募が少ない場合は、求人自体の魅力が他より劣っていると自覚する必要があります。
意外にも人材不足に陥っている会社の求人は、アクセス数は高く推移している傾向が目立ちます。
これは、求人に大きな費用をかけている分、他よりも露出度が高く、アクセス数が増えています。
しかしながら、いくらアクセス数が多くても、応募が上がらなければ話になりません。
採用に苦戦している企業の多くは、目をつけるところが間違っています。
言い方を変えれば、無効な対策に時間とコストをかけていると言えます。
より早く人材不足の状況から抜け出したいのであれば、なおさら採用ができていない本当の原因をつきとめて、それに応じた有効策を打つしかありません。
急に応募が減った場合、自社募集と周辺企業の募集動向を照らし合わせて、何が違うのか?ということを考える分析が採用活動にはかかせません。
採用にかけるべきは、コストよりも手間をかけることです。
最近採用が厳しいと感じる企業は、お金を使う前に、自社募集を一度振り返ってみて下さい。
若年層が応募を敬遠する募集内容
若年層が応募を敬遠する募集内容
今回の記事は、以下を見ると、「そんなやつは採用したくない!」 などと感じるかもしれませんが、今回は、内容の善し悪しを議論する記事ではなく、現実にそくした傾向として、求職者アンケートや応募データから分析した結果を紹介したいと思います。
さて、直近の若年層は、どのような求人で応募を敬遠しやすいのか?
一部の事例を紹介したいと思います。
◆ 幹部候補募集と記載のある求人
中途採用でよくみかける幹部候補生の募集は、応募が少ない傾向にあります。
毎年発表される大卒の新卒就活生で、出世意欲のある割合がニュースに出ていますが、年々低下傾向にあり、直近では、およそ15%という数値が発表されていました。
企業目線で見ると、決して変なことを書いているとは思えませんが、若い世代の求職者には、幹部候補生の募集は、応募したいきっかけにはならないと捉えられる傾向にあります。よって、募集の原稿に直接幹部候補生の募集と記載せず、遠まわしに伝えた方が企業の欲しい人材の採用がしやすくなります。
◆ 研修のワードが募集内容に記載されている求人
研修というワードそのものが、重い印象と感じる若年層が増えており、募集企業サイドでは、研修というワードを使わず、サポートやフォローといった記載に変更している案件が増加してきています。
◆ シフト制や完全2交代制のワードが入っている求人
これは、正社員の募集に限ったことではなく、アルバイトの募集にも共通して言えますが、直近では、短時間勤務や週休3日など、働き方そのものが変化しており、会社に縛られる印象を与えるワードとなっているため、求人原稿を作る際には、少し記載の仕方を工夫する必要があります。
◆ 転勤ありの記載がある求人
一昔は、出世と転勤はセットと感じる世代もあると思いますが、転勤の有無は正社員採用において、応募数が大きく左右する要素です。最近は地域限定社員など転勤のない募集も増え、他には同一県内の店舗異動のみと記載する企業も少しずつ増えてきています。特に若年層の応募傾向を見ると、求人サイトの検索画面で、転勤ナシの募集にレ点を入れて検索する方が非常に多くなっていいます。そのため、転勤をさせなくても会社が成り立つ体制を考えた方が、採用はスムーズになります。
◆ 社内イベントがたくさんあって職場環境が良いとアピールしている求人
勤務外に飲み会などのイベントが多すぎると、この会社では働きたくないと感じる若年層が増えています。最近では、忘年会を夜から昼に変えて、ランチ忘年会を勤務時間内に行うなど、無料でも参加したくないという若年層が増えていることに対して、企業サイドも従業員に配慮した対応を取るケースが増えています。求人原稿に社内イベントの写真を使った案件の多くは、応募を敬遠される傾向が見られます。
以上、今回は一部の事例を紹介しましたが、若年層の多くは、マイペースでそれなりに働きたいというニーズが強く、会社に縛られたくないと思っている傾向が目立っておりますが、企業の人事担当者が40代以上の方であれば、今回の記事を見て、「は?」 「なんだそれ!?」 「最近の若者は・・・」 などと感じるかもしれません。
しかしながら、これも企業と求職者の間で起こっているミスマッチの一つとなっているのも事実で、採用活動においては、何らかの工夫が求められます。
全ての求職者が上記のような傾向に該当する訳ではありませんが、求職者の動向も強力な売り手市場によって、大きく変化しているため、今後の採用活動を円滑に進めるためには、批判しているだけは解決しないため、募集企業はあらゆる変化に対応すべく、工夫と対策が必要になります。
採用対策は人的余裕があるうちに
採用対策は人的余裕があるうちに
採用に関する対策は、人員不足に陥ってから考えていては手遅れになります。
なぜならば、採用問題を解決するための根本の原因の多くが、立地や時給ではなく、社内の受入体制に関することが理由で採用ができていない可能性が高いためです。
こういった社内調整には時間を要するため、人員に余裕がある時から対策を用意しておかなければなりません。
具体的には、採用年齢幅・シフト・身だしなみなどの、採用基準に大きなミスマッチがあることで、採用が困難になっている可能性が高いことから、手遅れになる前に対策を考えておく必要があります。
また、人員不足に陥ると、既存スタッフへの負担も増えるため、更なる退職を招く恐れもあります。
現時点で採用に苦戦している企業の多くは、人材不足になってから初めて対策を検討する段階に入ることが多いため、対策を考えて実行するまでの期間に、更に状況が悪化するケースが目立ちます。
注意すべき点は、人員が充足した時点で安心して、次の退職が出るまで採用情勢に目を向けなくなることです。
求職者の動向は、時代の流れと共に変化を続けていますが、直近ではほんの数ヶ月でも変化することがあり、つい最近まで通用していた対策がすぐに効果が出なくなることも少なくありません。
売り手市場においては、求職者にとって仕事が選べる状況のため、ワガママの度合いも高くなり、より企業に求めるハードルが高くなってきています。
こういった求職者の要望に応える企業も増加しており、ほんの数ヶ月間だけ採用活動をしていなかっただけでも、採用情勢は気づかぬ間に早いスピードで変化しているため、人員が充足している時でも、求職者や他の募集企業の動きに目を光らせて、次に人材不足に陥った際の対策を考えておくことが大事です。
採用に限った話ではありませんが、何事も対応の遅れは致命傷になり得るため、人員が充足している時期こそ、次の一手を用意することに専念することが重要になります。
オープニング募集の本質
オープニング募集の本質
前回の記事に続いて、今回はオープニング募集の本質についてお話したいと思います。
一般的なオープニング募集は、時給が高い傾向が見られます。
これは、企業目線で見ると、絶対に失敗できない採用活動だと分析できます。
確実に必要人数を揃えるために、通常よりも高い時給で募集をかける企業が目立ちます。
しかしながら、時給を上げなくても採用はできます。(周辺企業や同業者の時給と同等レベルで○)
わざわざコストをかけてまで無理して高い時給を設定しなくとも、採用はできるのです。
求職者目線でオープニング募集を見ると、オープニング自体が一つの価値と捉える求職者が多い傾向にあります。
オープニング募集の価値は、人間関係が一から始められるということです。
前職又は現職からオープニングへの転職を考える理由として、人間関係で不満を持っているケースが多く、新しい職場で心機一転働きたいというニーズが高いことから、オープニング募集そのものが、魅力となっています。
弊社でも過去に数え切れないぐらいのオープニング募集を代行させて頂きましたが、時給を高くしなくても、採用ができるということは実証済みです。並みの時給でもやり方次第で十分に採用ができます。
ただし、時給が高いことに越したことはないということです。(高ければ更に採用ができるのも事実です)
オープニング募集に大きなコストをかける企業が多いですが、本当に難しいのはオープニングというキャッチが使えなくなった後の採用活動です。
オープンした後の方が採用は難しくなり、福利厚生などにコストをかける必要があると言えます。
時給を高くしたから採用に成功したと誤認して、採用を甘く見て、オープンした後の採用活動に苦労する事例が特に多いため、オープニング募集の本質を理解していなければ、オープン後の人件費や採用コストを見誤り、計画した利益を残せなくなる可能性が高くなります。
オープニング募集を成功させる秘訣
オープニング募集を成功させる秘訣
新規開店に伴い、オープニング募集を行う上で、最低限認識しておかなければならないことを紹介したいと思います。
オープニング募集は、人材確保ができなければ、開店を迎えることはできませんので、いわば失敗の許されない採用活動だと言えます。
確実に必要人数を採用するためのフローについて一部簡単に説明したいと思います。
① 開店日の4ヶ月前に求人募集を開始する (必要人数によって多少前後)
○ 新しくお店ができることを世間に認知させる必要がある (何のお店なのか/店舗住所/開店時期)
○ 無職者以外は急に転職できない (開店に合わせて直前に転職できるだけの時間的猶予が必要)
② 求人予算の使い方
○ 開店日に近づけば近づくほど求人掲載を増やしていく (最初から大きなコストをかける必要はない)
※ 4ヶ月前から募集を開始する前提で考えた場合、最初の2ヶ月間は応募があまり上がりません。最初の2ヶ月間は、後半の2ヶ月間で一気に応募を増やすための戦略として、広告宣伝を兼ねた世間への認知という意味合いでの求人募集になります。求職者は、オープニングの求人を目にしたら、求人サイト上で、キープリストに保存し、オープンが近づいた頃に応募する傾向が強く見られます。
★ オープニングで応募を増やすためには、事前の告知期間を設けることが非常に重要となります。
③ 多めに採用する (必要人数の2割増程度多い採用をしてリスクヘッジしておく)
○ 採用からオープンまで日数がある場合、気が変わって辞退する応募者が一定数出ます。
○ オープン後に想像と違ったという理由で、早期退職する応募者が一定数出ます。
★ オープンから3ヶ月程度は人件費予算を多めに確保しておく必要があります。
(辞退者や早期退職者が出ずに人員余剰になったからと解雇はできません)
以上、今回はオープニング募集における基本に少し触れてみましたが、オープニング募集は求職者には人気があるため、わざわざ高時給にしなくても戦略をしっかり立てれば、採用は比較的簡単にできますが、他にも注意すべき点や、成功させるための手法が、業種ごとにいくつもあるため、確実に開店に間に合う採用をしたい企業様、オープニングのやり方が分からない企業様、できるだけ低コストで採用したい企業様、オープニング募集の手間を省きたい企業様は、ぜひ弊社へご相談下さいませ。
最大のミスマッチとは?
最大のミスマッチとは?
売り手市場における人材不足が続いていますが、採用ができている企業とできていない企業には、明確な違いが見られます。
それは、企業と求職者の間に起きているミスマッチの程度に差があります。
そもそも完全にミスマッチがないということは考え難く、何かしらのミスマッチがある中で、求職者が納得して応募するかどうか?ということです。(ミスマッチをカバーできるだけの他の魅力があるかどうか)
さて、今回はタイトルの通り、最大のミスマッチとは何なのか?ということをお話したいと思います。
答えは簡単です。
★ 募集企業
⇒ 単に給料を上げれば採用できると思っている企業が多い
★ 求職者
⇒ 希望する休みが取れて、希望する勤務時間に働ける会社を優先する方が多い
上記の通り、募集企業と求職者の間で、ミスマッチが起きているケースが多いことで、いくら募集をかけても採用できない企業が増加傾向にあります。
一昔前のように、単に高収入というだけでは採用ができない時代となっています。
もはや給料が高ければ採用できるという時代では無くなっているにも関わらず、未だに多くの企業は、給料が安いから人が集まらないと思っている方が多いということです。
このミスマッチを認識した上で早くから対策を打っている企業は、人材不足と言われる現状でも、さほど困っていません。
現状で募集をかけて採用に苦戦している場合、どのような募集に応募が上がっているのかを見てみると参考になります。具体的には、バイトルドットコムのサイトに出稿している案件に、応募バロメーターの表示が出ているため、応募数の多い企業の募集要項と自社の募集要項を比較してみて下さい。
比較する際には、給与ではなく、それ以外の全てを比べてみて下さい。
他社の採用状況を分析することで自社採用のヒントを得ることができます。
ミスマッチの程度を小さくする対策を打つことが採用の近道となります。
正社員募集における「120」という数字
正社員募集における「120」という数字
2020年4月1日を起算日として、1年間の土日祝日の合計を数えると120日になります。
この数字は、正社員の仕事を探す求職者にとって、120日休めるなら、ある程度は満足できるという基準値となります。
有給休暇の取得義務化など、時代の流れは働き方改革に向いており、今後も企業の年間休日数は増加すると想定されます。
採用において影響を受けるのは、年間120日など到底取得させることができないという企業です。
現代の時間優先型若者が多い中、単に給料を上げたところで休みが少なければ、この会社で働きたいとは思ってもらえません。
特にサービス業界で見れば、年間休日数は、100日未満の企業が大半を占めており、採用情勢においても、求職者と大きなミスマッチが生じています。
厚生労働省が発表している直近のデータによると、年間108日が平均値と出ています。
今後の採用対策としては、年間休日数を増やすことがカギを握りますが、休みを増やせない企業の場合、休み以上の魅力がなければ話になりません。
このブログでも何度か紹介させて頂きましたが、福利厚生の充実は特に重要になります。
募集企業と求職者の間に起きているミスマッチを解消しなければ、採用問題は解決しないと言えます。
有効求人倍率から、人手不足が深刻化していることは明白ですが、集まるところには集まっており、極端な応募格差が生じています。
人材不足に陥ってから対策を打っても遅いため、現時点で人員が充足していても、不足した場合に備えた社内整備を先に進めることが重要になります。
採用ターゲット層の明確化
採用ターゲット層の明確化
求人募集をかける際に、明確にしておく必要があるのが、採用ターゲット層です。
どの層を採用したいのか?
求人原稿を制作する時に、ターゲット層を定めておくことが重要になります。
今回は、おおまかな求職者層の基本的な注意事項を見ていきましょう。
【応募を増やすための基本事項】
★ フリーターを採用したい場合
- 時給と時間のバランス ⇒ 生活できる月収レベルに達しているか
- 休日 ⇒ 週休1日は厳しい (少なくとも週休2日は必須)
- 交通費支給 ⇒ 時給に含むパターンはNG
- 社会保険等 ⇒ 記載がないとブラック企業と誤認
★ 学生を採用したい場合
- テスト期間に休みが取れるか
- 平日夜の勤務 (18時~23時) ⇒ 終電で帰れるシフト
- 土日祝の勤務 ⇒ 昼の勤務シフトで受け入れられる体制
- 週1日~4日で採用できる受け入れ体制
★ 主婦を採用したい場合
- 10時~15時のシフトが人気
- 扶養控除内で働けるシフト数
- 最低でも土日いずれかの休日を毎週取れること
- 週1日~採用できる受け入れ体制
応募が少ない場合、まずは上記の基本事項でミスマッチが起きていないかを検証する必要があり、応募が上がらないから時給を上げるといった対策を打つ前に、コストのかからない部分に目を向けることが大切です。極端に低い時給でない限り、コストをかけずに改善できる対策があるはずです。
また、求人原稿を制作する上では、採用したいターゲット層に向けたアピールをすることが必要です。
採用ターゲット層を明確にすることで、採用できない根本の原因も明確になります。
求人に使う写真で応募数が変化
求人写真による応募数の変化
求人募集には、写真のある媒体と、写真のない媒体があります。
さて、どちらの方が、応募数が上がるでしょうか?
これは、一概には言えませんが、使う写真によって大きく変わります。
弊社でも、写真のある媒体と、写真がない媒体の両方を利用していますが、写真がない求人媒体の方が、応募数が上がっています。
一般的には、写真のある媒体の方が、掲載料金が高く設定されており、どの求人会社に聞いても、写真は必須と回答がでると思います。当然ながら単価の高いプランを販売した方が儲かるからです。
しかしながら、使う写真に魅力がない場合、写真を載せることで良い影響は与えません。それどころか、マイナスになってしまうケースもあります。
例えば、マイナスになるケースを求職者目線で挙げると、「制服がダサイ」 「怖そうな店長だな」 など、使う写真によっては、応募が上がらない理由になることもあります。
逆に、有効な写真の使い方の一部事例を挙げると、身だしなみを写真に表す手法で、髪の色やネイルがどこまでの範囲でOKなのか?こんな美味しそうな賄いがついているのか。など、仕事に直接関係のない写真を具体的に示すことで、応募数が増えるケースもあります。
まとめると、写真を使う場合、求職者が魅力に感じるかどうか?ということを考えて出す必要があります。
推奨は、魅力のある写真を使って応募数を増やすことですが、魅力的な写真がないのであれば、わざわざ高いプランを使わずに、写真のない安いプランで試してみても良いと思います。
現状では、どの求人サイトを見ても、良くも悪くもない写真ばかりが出ているため、差別化できる要素になります。
フリーターが考えること
フリーターが考えること
最近の求職者の動向は、給料よりも時間を優先する傾向にありますが、それでも仕事を探す上で、最低限の給与は必要になります。
10年前のフリーターと、現在のフリーターを比較した場合、大きく異なる点は、「車の所有率」となります。
現在の求職者の約59%は、「車は必要ない」「車にお金をかけたくない」「車がなくても生活できる」「車通勤しなくて良い仕事を探す」というような動向が目立っております。
このような状況下でも、一定の給与は稼がなければ生活が成り立ちません。
現在のフリーターが仕事を探す上で考えることは以下のポイントになっております。
- 毎月の生活において月いくらの給与が必要なのか?
- できるだけ多く休みを取得できて、なおかつ最低必要な給与をもらえるか?
- できるだけ近いところで働きたい
まずは、この3つが仕事を探す上での大きなポイントになっています。
フリーターのニーズを汲み取ると、できるだけ多く休めて、ある程度の給与がほしい。
このニーズに影響を与える募集要項は ⇒ 「時給と実働時間の比較」
時給が高くても実働時間が短い ⇒ 最低限の給与を確保すると仮定した場合休みが減る
時給が低くても実働時間が長い ⇒ 最低限の給与を確保すると仮定した場合休みが減る
時給が高くて実働時間も長い ⇒ 少ない勤務日数で必要収入を得る+時間もできる
このように、給与よりも時間を優先する傾向にあるという状況は、必ずしも休みが多く取れる企業を選ぶというわけではなく、「多くの休みを取れた上で、給与も必要額もらえる」ということが、現在のフリーターの最大のニーズであると分析できます。
人材不足に陥った企業は、時給を上げることを考えますが、単純な時給UPで応募効果が上がらない要因としては、実働時間とのバランス・総支給額・周辺企業との条件差が、影響を及ぼしていることを把握した上で、対策が必要になります。
会社の魅力は何ですか?
会社の魅力は何ですか?
採用活動において最も重要なことは、求職者にとって、その会社で働くことに魅力があるのか?ということです。
求人募集をする前に、以下を従業員に聞いてみましょう。
「会社で自慢できることは?」
この質問に対して、いくつも出てくるようであれば、それを募集内容に記載すれば応募は増えます。(自慢できることに共感した人が応募)
逆に、何1つ出てこない場合は、どの求人に出しても応募が上がらないと言えます。
(応募するメリットがない/比較的、離職率も高め)
具体的に、採用がうまくできている会社の従業員は、以下のような回答をしています。
(一部事例)
【正社員編】
- 残業が一切なく確実に定時に帰れること。
- 好きな時に有給を取れること。
- 転勤がないこと。
- 明確な評価基準があること。
- 会社からPCとスマホが支給されること。
【アルバイト編】
- シフト希望が100%通ること。
- ネイルやピアスが自由なこと。
- スマホ台を毎月支給されること。
- 休憩中も給料が支給されること。
- 短時間で高収入なこと。
上記のように、既存の従業員に問いかけた際に、迷わず瞬時に回答が出る状態が整っていないのに、求人募集を開始するケースは、大半の場合うまくいきません。
例えば、飲食店の場合、集客するために工夫して来店してもらえるように、さまざまな試行錯誤を繰り返すと思いますが、採用においても人を集めるという面で共通しています。
集客と同様に、採用においても工夫が必要です。
売り手市場は、簡単に言えば、求職者数よりも募集企業数の方が多い状態です。
多くの企業が少ない求職者を取り合っている状況であり、求職者はより良い条件の会社を選べる状況にあることから、売り手市場における採用で、何の魅力もなければ、まず人は集まりません。
会社の魅力とは、例えば、給与・時間・立地・雇用形態・福利厚生・どんな人が働いているのか・やりがいのある仕事か・長く続けられそうかなど、さまざまな要素があります。
採用活動の第一歩として、まずは 「会社の自慢できることは何なのか?」 ということを最初に考えることが必須となります。
この会社で働きたいと思わせることが重要になります。
応募対策に「職場見学」と「しごと体験」
応募対策に「職場見学」と「しごと体験」
最近の求人サイトでは、写真だけではなく動画も掲載できる媒体がありますが、他にも面接する前に、職場を見学できたり、実際に体験した後に、希望する方は面接に進む形の採用活動を取り入れる企業が年々増加傾向にあります。
まずは以下をご覧下さい。
★ 職場見学とは?
就業前に実際の職場を見学し、見学後にその場で面接を行うこともOK!
★ しごと体験とは?
就業前に実際の仕事を体験し、体験後にその場で面接を行うこともOK!
このように、求人サイトの応募画面において、面接に応募する以外に、上記2つの見学と体験だけでも応募ができるようになっている媒体があります。
求職者が、応募する企業に面接前に下見に行くケースが50%程度と言われていますが、やはり長く働ける環境なのかを事前に確認したいという求職者も少なくありません。
コンビニやスーパーや飲食店の仕事は、見なくても想像がつきますが、職種によってはイメージが沸かない案件も多く存在しています。
例えば、パチンコ店に入ったことのない方が、パチンコ店を仕事探しの選択肢に入れるのか?
この場合は、そもそも選択肢に入っていないことが多く、必然的に応募数が少なくなります。
このような案件で募集する場合は、少なくとも職場見学OKと募集で記載することが重要になります。
求職者が求人募集を見て、仕事のイメージが沸くのか?という観点から、求人原稿を制作する必要があります。
もちろん、写真だけではなく、動画を使ってアピールすることも動画の内容次第で応募が増える可能性もありますので、求職者がイメージしにくい業種で募集する場合は、特に注意して原稿を制作する必要があります。
よく目にする履歴書不要とは?
よく目にする履歴書不要とは?
アルバイトの求人募集に、「履歴書不要」 と書いてある募集が徐々に増加してきました。
2013年時点では、ごく一部の企業が求人原稿に書いていましたが、直近では多くの企業が、掲載しています。
結論から言えば、いまさら履歴書不要にしたところで、応募は増えないと言えます。
すでに一般化しており、求職者目線から見れば、当たり前だと認識する人も少なくありません。(対策として有効なものは初期に始めた企業のみ)
一部の求人サイトには、求職者が検索をかけるチェックボックスに、履歴書不要の案件といった項目まで入っており、求職者が最初の検索で履歴書不要にレ点を入れて検索すると、履歴書が必要な企業は求人募集を見てもらえなくなります。
もはや履歴書不要という対策は、アルバイトの求人広告において、なくてはならない必須項目になっており、履歴書ありだと応募が上がりにくいデータが出ています。 (WEB上で出している求人を求職者に閲覧してもらうためには必須)
今回は、履歴書不要にも種類があるということについて、紹介していきたいと思います。
大きく分類すると、以下の2種類になります。
① 履歴書不要 (面接時も入社後も履歴書の提出を求めない)
② 面接時履歴書不要 (採用が決まった場合、入社初日に持参必要)
直近では、②のケースが多く見られます。
そもそも、履歴書がないと面接できないという企業担当者も多く見られますが、面接時の履歴書を不要にしている企業で多く見られるのは、面接来社時に 「エントリーシート」 に記入をしてもらうケースが増えています。
このエントリーシートには、履歴書よりも企業サイドが知りたい情報を得られることから、導入する企業が増加傾向にあります。(2分~3分で記入できる内容)
昔で言えば、派遣会社の登録シートのような、勤務希望条件などを書いてもらう書式になります。
現在、履歴書に添付する証明写真は、800円前後のお金がかかり、撮影に行く手間もかかるため、最近では、証明写真アプリなども出回っていますが、それよりも最初から履歴書不要の企業に応募する求職者が多いため、現状で履歴書をありとしている企業においては、できれば面接時の履歴書は不要にして、エントリーシートで対応する方が望ましいと言えます。